今回の カタ ポイント
高尾山に行くと、都市部では見られない豊かな自然に出会うことができます。いつもとは違う感覚が刺激され、そのたびに「この自然の素晴らしさを、なにかの形で表現したい!」という衝動に駆られます。以前訪れた陣馬エリアにはアーティストさんのアトリエがたくさんありましたし、自然の中にいると創作意欲が掻き立てられるのかもしれません。
数ある創作の中でも、みんな一度は体験したことのある身近な創作といえば絵画!高尾山の絵を描いてみたい!ということで今回は、タカオネでアートを担当されているKoumoriya(コウモリヤ)の伊藤さんと一緒に、高尾山へ絵を描きに行ってきました。高尾山ならではの描きカタをご紹介します。
今回題材として伊藤さんが選定してくださったのは「滝」。高尾山周辺にはいくつかの滝がありますが、今日は6号路の途中にある琵琶滝へ。
高尾山口駅から歩いて25分ほど。琵琶滝は薬王院の水行道場となっており、修行者以外の人は滝に入れないのですが、手前にある柵の前までは一般の方でも入ることができます。
伊藤さんからスケッチブックと鉛筆を受け取り、スケッチスタート!
最初のうちは頭のどこかで「どう描くのが正解か?」を考えてしまい、滝のどこを見たら上手に描き始められるかを探してみるも、なかなか手は進まず…。
そこで、「描くために見るのではなく、まずは滝をじっくり観察するところから始めよう。」と頭を切り替えてからは、なんと、徐々に滝の形が見えてくるようになっていったんです…!滝口は一つの流れだったはずなのに、中間ではいくつもの塊が落ちていているように見え、更にその先では滝の水が霧状になっていく様子を捉えることができました。
形のない滝を捉えて描こうとすると、自然と集中力が高まっていきます。行き詰まったり迷ったときは伊藤さんに教えを請いました。伊藤さんはその絵のいいところを見つけて言葉にしてくださるので、お話していると段々自分の絵が好きになっていきます。
じっくり見ていると、変化していく中にもその滝ならではのフォルムが見えてきますよ。そして、その捉え方は人それぞれに違うんです。
時折鉛筆をポスカに変え、ページをめくり、新しい描き方に挑戦しながら滝と対峙すること一時間。それぞれに渾身の一枚をピックアップして見せ合います。
最初は全然どうしたらいいかわからなかったのに、「見る」ってことに集中したら本当に滝の形が見えてきました!見えた!って思えた後に描いた滝は全部お気に入りです。
気づいたら結構な枚数描いちゃってたよ。自然の中で絵を描くって、なんだか心がスッキリするね。
わかります!それに、みんな表現の仕方が違って面白いっすね!
同じものを見ていたはずなのに、3人3通りの描きカタ。それぞれの絵を見比べながら語り合い、話がなかなか尽きませんでした。ちなみに、私サカネが描いたベスト琵琶滝はこちら。
スマホで気軽に撮影をするときとは違い、滝の姿を捉えようとじっくり観察をしたからか、記憶がいつもより鮮明に残りました。今この記事を書いている瞬間も、あのときの滝の形や音、空気の質感をありありと思い出すことができるくらいに。
次は場所を変えて絵の具遊びをしましょう!この滝のイメージをしっかり心に焼き付けておいてくださいね。
絵の具遊びによって、この滝のスケッチがどのような変化を遂げるのでしょうか?次回、絵の具遊び編をお楽しみに〜!
【後編記事はこちら】
こんなことがあった!!編集後記
ジュウカワ
「滝」みたいに形が無いものを描くって、先入観や既成概念に捉われないし、「上手い」「下手」が無くって面白かったな。自然の中での作業は想像以上に集中できることが体感できました!仕事も高尾山でしたい!
本日のタカオのオカタ
コウモリヤ
伊藤 弘二さん
Koumoriya 伊藤弘二さん。奥多摩のアトリエを拠点とするアーティスト。壁画制作や映画美術のデザイン・制作、テキスタイルやステーショナリーのデザインなど、ジャンルに捉われない創作活動を行っている。中目黒にて、インテリアショップ「Koumoriya」も運営中。
編集部
ジュウカワ
ちなみに、高尾山にはいろんな自然がありますが、なぜ今回は滝をモチーフにされたんでしょうか。
コウモリヤ
伊藤さん
滝っていうのは決まった形や描き方がなくて捉えどころがない。型の決まったものを描こうとするとどうしても「うまく描こう」っていう気持ちが働いちゃうんです。
編集部
スエマツ
めっちゃわかります!何か描いたり作ったりするとき、僕は特にそういう気持ちになりがちなんですよ。
コウモリヤ
伊藤さん
捉えがたいものだからこそ、そういう感覚が生まれづらくなっておもしろい表現になるんですよ。なんとなく描くのではなく、よ〜く滝の表情を観察して描いてみてくださいね。